特集荻野恭子の世界の発酵食

サンロー(酸肉)の米粉蒸し(粉蒸肉)[第9回]

60カ国以上の家庭料理を食べ歩き、研究を重ねる荻野恭子さんに、

世界の発酵食を伺います。今回は、中国の発酵肉をご紹介します。

荻野恭子さん

料理研究家。サロン・ド・キュイジーヌ主宰。ユーラシアを中心に60カ国を訪れ、世界の家庭料理の研究を続ける。朝日新聞「GLOBE+」にて、「荻野恭子の 世界食と暮らしぐるり旅」を連載中。

炒った米をまぶして蒸せばするんとした味わいに

中国・湖南省は冬大変寒く、乾燥した地域なので、常温で肉を乳酸発酵(酸肉)させるのはポピュラーな保存食です。この辺りは中南米との交易が盛んだったことから、トウモロコシや唐辛子もよく食べられていると同時に、昔から米どころでもあります。

 

唐辛子を使ったトウモロコシ粉の料理を紹介した前回に続いて、今回は酸肉と米を使った「粉蒸肉(フェンジェンロウ)」と呼ばれる蒸し料理を紹介しましょう。

 

炒った米をすりこぎで少しつぶしたものと調味料を合わせてまぶしつけることで、肉の旨みを外に逃さないようにして蒸し上げます。表面がするんとして、小麦粉や片栗粉では出せない味わいがあります。代用する場合は、上新粉や米粉、道明寺粉など、コメ由来のものでぜひ。

 

酸肉の米粉蒸し(粉蒸肉)

材料(2人分)

酸肉
150g
じゃがいも
2個
長ねぎ
1/4本
にんにく、しょうが
各1かけ
大さじ2
ごま油
大さじ1

合わせ調味料

 豆板醤
小さじ2
 甜麺醤
大さじ1
 紹興酒(または酒)、しょうゆ
各大さじ1/2
 五香粉
小さじ1/4
 砂糖
小さじ1

つくり方

じゃがいもは酸肉とともに角切りにする。長ねぎ、しょうが、にんにくはみじん切り、米はフライパンできつね色に炒ってすり鉢ですりつぶす(フードプロセッサーにかけてもよい)。

長ねぎの1/3量を残し、それ以外をボウルにすべて入れて合わせる。

2を耐熱の皿に移し、湯気の上がった蒸し器(または蒸篭)に入れて中火で30分ほど蒸す。

取り出して、残りの長ねぎを散らし、熱したごま油をジュッとかける。

文/吉田佳代 写真/竹内章雄

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