特集荻野恭子さんの世界の発酵食
50カ国以上の家庭料理を食べ歩き、研究を重ねる荻野恭子さんに、世界の発酵食について伺います。第1回はトルコの発酵トマトペースト「サルチャ」です。
荻野恭子さん 料理研究家。サロン・ド・キュイジーヌ主宰。1974年よりユーラシアをメインに50カ国以上を訪れ、現地の家庭で料理を習い、食文化の研究を続ける。
サルチャは、トルコ料理のエッセンスともいうべき大切な調味料です。発酵させたトマトの甘く濃厚なうま味がぎゅっと詰まっていて、煮込みやスープ、ディップほかに加えるなど、料理のコク出しに欠かせません。市販品も出回っていますが、やはり自家製が一番です。夏の終わりから秋にかけての旬の終わり頃の、糖度がそこそこで酸味のある、真っ赤に熟したトマトを使って1年分を仕込みます。
大量のトマトを刻んで塩をまぶし、天日に干しておくと、半日ほどで発酵し始めます。撹拌してさらに干すことでコクがでてきます。
その後、水分がほぼなくなるまで煮詰めたら、種も皮も濾さずに、そのままビンなどに詰めて保存します。現地の主婦たちの作業風景は圧巻で、まさにトルコの風物詩。トマトは日光に当てて乾燥させると、同時にリコピンが活性化して栄養的にも豊富になります。
現地ではゆっくりと2〜3日以上干すのが常ですが、日本とは気候も異なるため、同様に試してみると発酵が強すぎるように感じることもありました。そんな経験をしてから、私は1日程度干し、少量から仕込むようにしています。焼いた肉やオムレツに、煮込みなどにおすすめです。
まずは、作ってみようと思う気持ちが大切。作業が楽しい、干す時間も楽しい、すぐできておいしい!そのくらい感じで始めてみてはいかがでしょう。
(作りやすい分量)
トマトはざく切りにしてボウルに入れ、塩と粉唐辛子を全体にまぶす。半日ほど日光にあてる(熟成させるとうま味が凝縮し、トマトのリコピンが活性化して色鮮やかになる)。
ミキサーまたはフードプロセッサーにかけ、再び半日〜1日天日に干し、水分をとばす。
鍋に入れ、水分がなくなりペースト状になるまで、弱めの中火で1時間半ほど煮詰める。最後、水分がなくなったかと思うとまだ残っている感じがするが、気長に煮詰める。熱いうちにきれいな保存瓶に入れる。
*サルチャは煮込み、ディップ、スープほか、さまざまに活用できます。オムレツにかけても。冷蔵庫で3カ月ほど保存可。
ひと口大に切った羊肉と、ぬるま湯にひと晩浸けたひよこ豆を鍋に入れ、かぶるほどの水(分量外)を注いで、アクを取りながら弱めの中火で50分ほど煮る。
フライパンにオリーブ油を熱して玉ねぎ、にんにくを入れてしんなりするまで炒め、1の鍋に入れて、塩を加える。
空いたフライパンにバター、サルチャ、粉唐辛子、ミントを入れてサッと炒め、2の鍋に加える。
文/𠮷田佳代 写真/竹内章雄
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