特集分とく山 野崎洋光さんに習う家庭料理

「じゃがいものしょうゆの実和え」「あさりのサクサクしょうゆ麺」[和食編3]

ゆでた野菜や麺にしょうゆもろみを絡めるだけで味が決まる、と
「分とく山」の野﨑洋光さん。
複雑な香りと味を楽しむ、おすすめの使い方を教えていただきました。

和食編//第3回 野﨑洋光さんに習う   「じゃがいものしょうゆの実和え」   「あさりのサクサクしょうゆ麺」

野﨑 洋光さん
日本料理人。福島県出身。分とく山総料理長。素材を生かしたシンプルな調理法は、家庭料理にも取り入れられる部分が多い。日本文化と真摯に向き合う料理、人柄にファンも多い。

野菜も、麺も。 しょうゆもろみで和えれば他の調味料要らずでおいしくなります

 

 今回ご紹介する「じゃがいものしょうゆの実あえ」の材料は、シンプルそのもの。ゆでたてのじゃがいもをすり鉢に入れて、好みの具合に潰し、「しょうゆの実」または「しょうゆもろみ」を合わせます。ねぎやしそ、みょうがなどの香り野菜もお好みで。ほくほくとしたじゃがいもの甘みとしょうゆの実のつぶつぶ感、香味野菜の食感と香りが重なり合い、なんとも言えないおいしさです。

 

 「『しょうゆもろみ』は、しょうゆに精製する前の状態のもので、うま味の構造も複雑です。その分、温かいものに合わせると香りが立ち上り、嗅覚に訴えかけます。おいしそうだな、と想像が広がるんです」と野﨑さん。酒やみりんなどは混ぜずに、生(き)のまま「しょうゆもろみ」を合わせるのが、野﨑さんのお好みだそう。ほかに小松菜、キャベツ、白菜や、菜の花、青梗菜、カブなどをゆでてあえるのもおすすめです。

 

 「大切なのは野菜をゆでる温度。沸騰した湯でぐらぐらゆでてしまうと、湯温が高くて酵素が死んでしまいます。適温は70度。沸騰したら弱火にして野菜を入れ、ごくごく弱火で7〜8分間、沸騰させずにおくとおいしく仕上がります」
キャベツなどはゆで汁に甘みが出るので、そのまま冷まして保存したり、ゆで汁はだし汁としても活用しているそうです。

 

 もう一品目の「あさりのサクサクしょうゆ麺」は、あさりのだし汁に麺をあえ、「さくさくしょうゆアーモンド」であえるだけ。調味料は、やはりこれだけです。
「イタリアンのボンゴレをヒントにしました。魚介のだしを麺に吸わせて、食感の良い『サクサクしょうゆアーモンド』と和える。サクサクしょうゆアーモンドの油を絡めるから、油は別に加えません。無駄がないでしょう。最近はみんないろんな料理に詳しくなっているから、こういった洋の料理の和への応用も、面白がっていただけると思います」

じゃがいものしょうゆの実和え

材料

2人分

しょうゆの実
40g
じゃがいも
200g
ねぎ
1/4本
青じそ
4枚

つくり方

じゃがいもは皮つきのまま4等分に切って水からゆでる。竹串がスッと通ったらざるに上げ、熱いうちに皮をむく。

ねぎはみじん切りに、青じそは粗めのみじん切りにして合わせ、水洗いをしてざるに上げ、水気をきる。

1をボウルに入れ、すりこ木で軽くついてつぶし、2としょうゆの実を入れて和える。

おいしさのヒント

じゃがいもは、皮つきのままゆでると、包丁なしで皮がむけます。

あさりのサクサクしょうゆ麺

材料

2人分

サクサクしょうゆアーモンド
30g
あさり(砂抜き)
200g
そうめん
3束(150g)
みょうが
1個
青じそ
5枚
ねぎ
1/2本

つくり方

あさりはボウルに張った水の中で殻ごとこすり洗いをし、水を替えて2分ほど浸して水気を切る。水1カップとともに鍋に入れて火にかけ、口が開いたら火を止める。

みょうがは縦半分に切って縦うす切りにする。青じそは縦にせん切りにする。ねぎは斜めうす切りにする。それぞれ水でサッと洗い、ざるに上げて水気をきる。

そうめんは少々固めにゆでてもみ洗いをし、水気をきる。1のあさり汁にねぎとともに入れて火にかけ、ひと煮立ちさせて器に盛る。

3にみょうがと青じそ、サクサクしょうゆアーモンドをのせ、和えていただく。

おいしさのヒント

麺は、早めに引き上げ、再び火を入れてちょうどよい食感に仕上げます。好みで、しょうゆもろみに油とナッツ類や薬味を加え、麺に絡めてもおいしい。

次回はしょうゆ博士・舘博先生の「発酵の科学」です。

文/𠮷田佳代 写真/木村 拓 器/工芸店ようび

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