今回ご紹介する「じゃがいものしょうゆの実あえ」の材料は、シンプルそのもの。ゆでたてのじゃがいもをすり鉢に入れて、好みの具合に潰し、「しょうゆの実」または「しょうゆもろみ」を合わせます。ねぎやしそ、みょうがなどの香り野菜もお好みで。ほくほくとしたじゃがいもの甘みとしょうゆの実のつぶつぶ感、香味野菜の食感と香りが重なり合い、なんとも言えないおいしさです。
「『しょうゆもろみ』は、しょうゆに精製する前の状態のもので、うま味の構造も複雑です。その分、温かいものに合わせると香りが立ち上り、嗅覚に訴えかけます。おいしそうだな、と想像が広がるんです」と野﨑さん。酒やみりんなどは混ぜずに、生(き)のまま「しょうゆもろみ」を合わせるのが、野﨑さんのお好みだそう。ほかに小松菜、キャベツ、白菜や、菜の花、青梗菜、カブなどをゆでてあえるのもおすすめです。
「大切なのは野菜をゆでる温度。沸騰した湯でぐらぐらゆでてしまうと、湯温が高くて酵素が死んでしまいます。適温は70度。沸騰したら弱火にして野菜を入れ、ごくごく弱火で7〜8分間、沸騰させずにおくとおいしく仕上がります」
キャベツなどはゆで汁に甘みが出るので、そのまま冷まして保存したり、ゆで汁はだし汁としても活用しているそうです。
もう一品目の「あさりのサクサクしょうゆ麺」は、あさりのだし汁に麺をあえ、「さくさくしょうゆアーモンド」であえるだけ。調味料は、やはりこれだけです。
「イタリアンのボンゴレをヒントにしました。魚介のだしを麺に吸わせて、食感の良い『サクサクしょうゆアーモンド』と和える。サクサクしょうゆアーモンドの油を絡めるから、油は別に加えません。無駄がないでしょう。最近はみんないろんな料理に詳しくなっているから、こういった洋の料理の和への応用も、面白がっていただけると思います」