今回野﨑さんがご提案くださった『豚天丼のゆでキャベツ添え』は、「しょうゆもろみ」をソースのように、直接かけていただく料理。豚肉は塩こしょうをふり、粉をまぶして少なめの油でカリカリに揚げたもの。温かいごはんの上に薄く切った玉ねぎと貝割れ菜を広げ、揚げた豚をのせて、ゆでたてのキャベツを添えます。
「新鮮でしょう。ソースというと甘辛いものを思い浮かべがちですが、あつあつの素材に『しょうゆもろみ』をかけると素材とのからみもよく、香りがふわあっと立って、キリッとしたコクとうま味が楽しめます。塩分を気にする方もいらっしゃいますが、少量でも和えやすいのが良いですね」
鉢物に盛りつけてワンプレート風にしているのは野﨑さんおすすめの器づかいです。普段から、中くらいの平鉢を丼に見立てたり、おかずの盛り鉢として使うそうです。
「一つの用途だけでなく、いくつも使い回すのが今っぽいんじゃないかしら。そう考えると、丼はあまり深すぎるより、少しなだらかな方が使いやすく食べやすいかも知れません」
日々、大学生の娘さんとの3人家族で囲む日々の食卓では、鉢物におかずを盛り付けて卓上に並べ、少し大きめの皿を取り皿に、めいめいが取り分けていただくことが多いそう。
「日本が貧しかった時代は、料理が貧弱な分、派手な絵付けの器が好まれた時代もありました。今は食材の流通事情がよくなった一方で、アクや味の強さのない素材が増えました。ですから、シンプルに調理してあっさりいただく方がいい。器も、シンプルなほうが素材が映える気がします。粉引や染付、白磁などの器が好きですね」