特集だしともろみで発酵を楽しむ

発酵のちから『香りふくらむ日本のうまみだし』でつくるポトフー風おでん[第3回]

てのしま店主 林亮平さんの提案3

発酵食品であるかつお枯節をはじめ、6種類の素材を合わせた「香りふくらむ日本のうまみだし」。だしにこだわる和食の達人に、しょうゆもろみとの合わせ技を伺いました。

林 亮平さん

日本料理人。香川県出身。大学卒業後「菊乃井」にて村田吉弘氏に師事。2018年、東京・青山に「てのしま」を開店。海外経験も豊富で、日本料理を多角的に捉えるホープ。

だしで炊いた食材に、 しょうゆもろみをつけることで完成する

今回、てのしまの林亮平さんに教えていただいたのは、「ポトフー風もろみおでん」。「香りふくらむ日本のうまみだし」で炊いた野菜とかたまり肉を、しょうゆもろみと白みそベースのたれにつけていただきます。

 

美味しいだしともろみがあったなら、両方を合わせた煮汁で炊くことを想像しそうですが、林さんの考え方はひと味違います。

「もろみとだしを合わせると本当に美味しい。でも美味しすぎる気もします。ですから、別々に料理して、それぞれの力に頼らない、ということをやりました」

 

家庭の味は、地元・香川の言葉で表現すると「なんちゃない味(=なんてことない味)」、少し足りないくらいがいいと思う、と話す林さん。

「料理屋の味は作り込んで完成させるものですが、ご家庭の味は、足りないということがミソだと思っていまして。そういった意味では、『なんてことない』ことこそが美味しいし、食べ飽きない、食べ続けられる味ではないかと思います」

林さんは、「塩分濃度」と「うまみ濃度」の両方があると捉え、そこに注目しています。うまみ濃度の強弱と塩分濃度の関係はとてもデリケートなので、濃すぎるより、別々に使って塩梅を加減した方がよいと考えているのです。

「家庭では、いただく時間帯も違う場合がありますし、夜遅く帰ってきて、再加熱したりレンジにかけてから食べる人もいるかもしれません。なので、状況に合わせて味を完成させる、という“手塩”に似た感覚がいい。体調や季節や、いろんな要素によって少しずつ味が毎日違うけれど、お母さんの味は一本通っている、みたいな…。そこが、ゆとりであったり、店では出せない味につながります」

 

お店の料理も、ものによっては「これをつけたら完成する」という味の作り方を推進しているのだそうです。おいしいだしで炊いた食材を、しょうゆもろみのたれにつけて完成するおいしさを、ぜひお試しください。

ポトフー風もろみおでん

材料(2人分)

「香りふくらむ日本のうまみだし」でとっただし汁
5カップ
大根
1/3本
にんじん
120g
豚かたまり肉(バラ)
400g(5㎝角×8切れ)
春菊(葉のみ)
1パック分
うすくちしょうゆ
大さじ2と2/3
みりん
大さじ1と1/3
少々

つけだれ

 しょうゆもろみ
大さじ1と2/3
 白みそ
1/4カップ
 酒
1/4カップ
 みりん
1/4カップ
粗びき黒こしょう
少々

※「香りふくらむ日本のうまみだし」基本のだしの取り方(1と1/2カップ分)

鍋に水2カップと「香りふくらむ日本のうまみだし」1パックを入れて火にかけ、沸騰し

たら弱火にして10分ほど煮出す。

つくり方

大根は厚めに皮をむいて4㎝厚さに切る。にんじんも皮をむき、大ぶりの乱切りにする。豚肉は5㎝角に切り、水から1時間ほどやわらかくなるまでゆでる。やわらかくなったところへにんじんを加え、やわらかくなるまでさらに煮る。

だし汁にうす口しょうゆ、みりん、塩を加え、①の材料を加える。弱火でコトコト20分ほど煮て、そのまま冷ます。

鍋に、白みそ、酒、みりんを入れて弱火~中火にかけながら練って、元の白みそよりやや固いぐらいの固さにし、「しょうゆもろみ」を合わせてつけだれにする。

 

2を再び火にかけて温め、春菊の葉を摘んで鍋に入れ、さっと煮る。煮汁ごと器に盛り、こしょうをふる。つけだれを添え、つけながらいただく。

 

文/𠮷田佳代 写真/木村 拓 器/工芸店ようび

 

次回第4回は林さんの「もろみ鶏じゃが」のレシピをお届けします。

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