特集だしともろみで発酵を楽しむ

鯛のすまし仕立て[第1回]

てのしま店主 林亮平さんの提案1

発酵食品であるかつお枯節をはじめ、6種類の素材を合わせた「香りふくらむ日本のうまみだし」。だしにこだわる和食の達人に、使いこなし方を伺いました。

林 亮平さん

日本料理人。香川県出身。大学卒業後「菊乃井」にて村田吉弘氏に師事。2018年、東京・青山に「てのしま」を開店。海外経験も豊富で、日本料理を多角的に捉えるホープ。

飲むのにちょうどよいだしを純粋に、 シンプルに味わうお吸い物で

発酵食品である、かつお枯節をはじめ、6素材を合わせた「香りふくらむ日本のうまみだし」。日本各地の美味しい素材を組み合わせた自信作。関西の味でも関東の味でもない、日本のだしの代表選手のような味を目指しました。早速、てのしま店主、林亮平さんに使っていただくと、「まさに、万能選手ですね」という答えが返ってきました。

「うちでちょっとうどん食べようかな、というような時、めんつゆだと味が少し濃い。かといって、一からだしを取るのは面倒という方も多いでしょう。鍋に入れて煮出せば簡単。薄口とみりんをちょんちょんと入れればすぐに活用できるので、これはいいなと思いました」

今回作っていただいたのは、定番のすまし仕立て。すっきりとした上品な口あたりで、うす口しょうゆと塩で調味しています。

「お店でも一番だしは必ず使いますが、それはお椀にのみ。あとは牛、豚、鶏、野菜系、ドライトマトなど、料理によって使い分けます。店の料理というものは、突き詰めて作り込むものなので、ベストは1つ。けれども、家庭での使いやすさは、汎用性があるかどうかにかかってきます」

 

大体、人間の塩分の血中濃度は0.8%から0.9%で、お吸い物の塩分濃度は大体それくらいなのだそう。1%のだしを用意しておくと、体内塩分濃度くらいになるというわけです。

「つまり、飲むのに良い濃度ですね。でも、食べるのには頼りないので、おひたしなどにする時などは、もう少し濃くしたりします」。

なるほど、飲むのにちょうど良い塩加減とは納得です。しかも、汎用性があるので、魚から野菜まで、様々な素材に合わせやすいのも重宝しますね。

鯛のすまし仕立て

材料(2人分)

「香りふくらむ日本のうまみだし」でとっただし汁
1と1/2カップ

鯛(切り身・皮つき)

 50g2切れ
下味(重さの1%の塩=1g)
生しいたけ
2個

煮汁

 水
1/2カップ
 塩
少々
 うす口しょうゆ
小さじ1/3
三つ葉
6本
柚子の皮
適量
うすくちしょうゆ
小さじ1強(6cc)
0.6g
くず粉(または片栗粉)
適量

※「香りふくらむ日本のうまみだし」基本のだしの取り方(1と1/2カップ分)

鍋に水2カップと「香りふくらむ日本のうまみだし」1パックを入れて火にかけ、沸騰し

たら弱火にして10分ほど煮出す。

つくり方

鯛は下味の塩をふり、1時間ほどおく。

三つ葉は根元を落とし、しいたけも石づきを落とす。鍋に煮汁の材料を入れて火にか

け、しいたけを炊く。三つ葉はサッと湯がいて水にとり、結ぶ。柚子の皮は松葉に切る。

「香りふくらむ日本のうまみだし」でとっただし汁、うす口しょうゆ、塩を鍋に入れて温め、吸い地とする。

1に包丁で3回切れ目を入れてくず粉をまぶし、沸かしたお湯に通し、しいたけとともに椀に盛って吸い地を注ぐ。②の三つ葉と柚子をあしらう。

おいしさのヒント

だしのおいしさを楽しむ一品です。椀は盛る前に湯を注いで温めておくとよいでしょう。柚子の皮は松葉に切るのが難しければせん切りにしても。魚は、たらなど好みの白身で。

文/𠮷田佳代 写真/木村 拓 器/工芸店ようび

次回第2回は林さんの「ブロッコリーのおひたし」のレシピをお届けします。