特集達人の発酵調味料レシピ

ぺんぎんあいりさんの 「鶏のもろみ花椒焼き」[第2回]

ぺんぎんあいりさん
石垣島で「辺銀食堂」「石垣ペンギン」を経営。「辺銀食堂の石垣島ラー油」には全国に熱烈なファンがいる。

シンプルな料理に使うと食材の味を引き立ててくれる

 

 子どもの頃から世界中のおいしいものにたくさん触れてきたぺんぎんあいりさんが行き着いた料理のモットーは「食は命薬(ぬちぐすい)」。ぬちぐすいとは、寿命を延ばしてくれるもの、心が洗われるもの、という意味の沖縄に伝わる言葉です。

 

 「あれこれ余計なものが入っていないのが一番。しょうゆもろみは、そういうシンプルな料理に使うと食材の味が引き立ちますね。いつもの料理に深みを増し、よりおいしくしてくれる調味料だと思います」

 

 今回ご紹介するあいりさんの「もろみ花椒」レシピも、「鶏もも肉をビニール袋に入れて『もろみ花椒』」を加えて揉み、焼くだけ」という究極のシンプルなもの。パリパリの皮とジューシーな肉のうまみに、やみつきになること請け合いです。焦げ付かさずにじっくり、ていねいに火を通す焼き方はぜひ参考にしたいもの。

 「これを、ご飯の上に焼いて細く切った海苔をのせ、フライパンに残ったたれをかけた上にのっけて焼き鳥丼にするのもおすすめ。甘いのが好きな人は、たれにみりんを少し加えてもいいですよ」

「鶏のもろみ花椒焼き」

材料は鶏もも肉、もろみ花椒。つけあわせに半熟玉子、アスパラ(ズッキーニやパプリカでも可)、芽キャベツ、塩。

1)食品用ビニール袋に鶏もも肉1枚を入れ、大さじ1杯程度の「もろみ花椒」を加え、よくもんで全体にまんべんなく行き渡らせたら、空気を抜いて常温に置く。厚さにもよるが、15〜30分漬け込む。

2)大さじ1のお好みの油をフライパンにひき、弱火〜中火で皮目から焼く。

3)皮に良い焦げ目がついたら、ひっくり返してフタをする。

4)フタしたまま3分〜5分焼いて、火を消し、5分ほど置いて蒸らす。

5)食べる時に、焦がさない様に気をつけながら再度温める。この時つけあわせのアスパラを一緒に焼く。

6)食べよく切って、つけあわせとともに盛りつける。

【おすすめのつけあわせ】

■ゆで卵
卵は殻に穴を開けて、沸騰したお湯で7分半ほど茹でて水で冷やし、殻をむいておく。尖った方の白身を少々切り、糸か包丁で横半分に切る。盛り付けた後に「もろみ花椒」をほんの少しだけ黄身の中心に置く。

■アスパラガス
アスパラは根元の固い部分をピーラーで切っておく。細ければそのまま、太ければサッとゆでてから、鶏の脇で焼き色がつくまで焼く。

■芽キャベツ
フライパンか小鍋を傾けて、芽キャベツの高さギリギリぐらいの油を170度に熱し、素揚げしてキッチンペーパーにとり、少量の塩をふる。

次回はしょうゆ博士・舘博先生の「発酵の科学」です。

文/奥谷裕子 写真/原田教正

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