このようにもろみの中では、ドラマさながらに微生物が現れては消えるのが繰り返されています。これらの微生物のミクロフローラは、16%という高い食塩濃度下だから整然と行われるのであり、食塩濃度が12%を下回ると、いわゆる雑菌が増殖してもろみは腐ってしまいます。もろみという舞台は、この食塩のほかpH、アルコールによって役者を変えるのであり、その絶妙な配役には舌を巻かざるを得ません。
しょうゆは、麹菌、乳酸菌、酵母によって生まれる発酵調味料であり、色、味、香りの三拍子がそろった万能調味料です。同じ塩辛味の調味料である食塩とは異なり、微生物の発酵作用により醸成された多くの成分を含むため、非常に複雑なおいしさを持つことが可能なのです。