特集だしともろみで発酵を楽しむ
「香りふくらむ日本のうまみだし」と「しょうゆもろみ」の使いこなし方を和食の達人に伺う連載の第4回。今回は、だしを使わずしょうゆもろみでつくる簡単肉じゃがを教えてもらいました。
林 亮平さん
日本料理人。香川県出身。大学卒業後「菊乃井」にて村田吉弘氏に師事。2018年、東京・青山に「てのしま」を開店。海外経験も豊富で、日本料理を多角的に捉えるホープ。
これまで3回にわたって「香りふくらむ日本のうまみだし」について伺ってきましたが、今回はだしを使わず、しょうゆもろみの美味しさで炊いた、鶏じゃがをご紹介します。こっくり濃厚な、もろみの風味が生きる一品です。
「前回のポトフは、だしで煮て、もろみのたれをつけて味を調えるものでした。だしともろみを別々に使った方が、それぞれの味が引き立つと考えたからです。一方、肉じゃがは、だしを一切使わず、もろみだけで煮ます。もろみを、だししょうゆのような感覚で使っているのです。うまみが濃いので、しょうゆの代わりに使うのであれば、だしはいらないと思っています。フレッシュ感や、生の感じを楽しむのもよし、また、完全に火を入れ切っても美味しいと思います」
「しょうゆもろみは、しっかり濃度があるため、使い方を伝えないと使いこめない調味料」と話す林さん。濃度があると、そのままソースやたれとして使われがちですが、しょうゆもろみは、オリーブ油やマヨネーズ、また酸味のあるものと合わせたり、水で伸ばすのもよく合います。味にパンチがあるため、油との相性は抜群です。
素揚げしたじゃがいもの油分と、しょうゆもろみの塩分がマイルドに絡んだもろみ鶏じゃが。ご飯に合わないはずがありません。肉じゃがの新しい定番になりそうですね。
材料(2人分)
じゃがいもは乱切りに、鶏肉はひと口大に切る。
フライパンに揚げ油を熱してじゃがいもを入れ、170℃で素揚げにする。
鍋に油を入れて熱し、鶏肉を皮目から入れて焼く。表面がこんがりと焼けたら余分な油
をキッチンペーパーに吸わせる。2、「しょうゆもろみ」、酒、砂糖と水350ml(材料外)を加え、落とし蓋をして強火で煮る。
煮汁がほとんどなくなったら落とし蓋を取り、煮汁を絡めて仕上げる。器に盛り木の芽をあしらう。
文/𠮷田佳代 写真/木村 拓 器/工芸店ようび
次回からは「香りふくらむ日本のうまみだし」の産地ルポをお届けします。
発酵のちから『香りふくらむ日本のうまみだし』でつくるポトフー風おでん[第3回]
特集/だしともろみで発酵を楽しむ
ブロッコリーのおひたし[第2回]
鯛のすまし仕立て[第1回]
しょうゆもろみ