玄米「金のいぶき」 安全・安心への取り組み

 お米を選ぶ際、農薬の使用状況や安全性、栽培方法などについて気にされる方も多いのではないでしょうか。糠(ぬか)ごと食べる玄米なら、なおのこと。

今回は「糀入りもちもち玄米」に使用しているお米「金のいぶき」の安全・安心に向けた取り組みについて、高機能玄米協会の理事も務める、株式会社タカショクの佐藤貴之社長にお話を伺いました。

 

 

 金のいぶきは玄米で召しあがりいただく品種ですので、栽培を始めた当初から、特に農薬の管理には気を配ってきました。具体的な方策として、金のいぶきは高機能玄米協会の策定する『品質規格基準認定ガイドライン』に従って栽培しており、リストの中から使用できる農薬成分を12種類以内にするよう決められています(ただし病害が発生した場合は、緊急措置として追加で農薬を使用できるようにしています)。
 
 病害虫の発生には降雨量や気温、日照、風通しなど、様々な要因がありますので、栽培する地域によって差があります。それでも使用できる農薬を12種類以内と決めたことで、各地域の生産者は栽培を工夫しながら農薬を減らす取り組みを行っています。一般のお米を栽培する場合には、こういったガイドラインはほとんど見られません。

 

 

 また、実際にどのような農薬を使用したかは、各生産者が作成する『生産履歴記録簿』で管理しています。生産履歴記録簿には、いつ、どのような肥料や農薬をどれくらい使用したか、細かく記入する欄があります。そして最終的に、収穫した米に対して200項目程度の残留農薬分析を行っています。なぜこんなにも多くの種類の残留農薬を検査するのかというと、例えば水田近くの林で除草剤を撒いて、その成分が水田内に混入するようなことがないか、といったことをモニタリングするためです。つまり、自分たちが使う農薬だけでなく、周りの環境も考慮して分析を行っているのです。なお、分析を始めてから十数年経過していますが、2021年現在まで残留農薬が検出されたことはありません。
 
 金のいぶきは、収穫後に倉庫で保管すると、他の品種の米に比べて圧倒的に虫がつきやすいという特徴があります。栄養価の高い金のいぶきは、虫にとってもおいしく感じられるのでしょう。そのため、金のいぶきは他の品種の米よりも保管庫の温度を低く管理し、虫の発生を抑えるといった工夫をしています。

 

 金のいぶきは他の品種の米に比べて栽培が難しいことから、生産者は皆さん本当に苦労しています。そこで、高機能玄米協会では『金のいぶき優良生産者認定制度』をつくり、金のいぶきの栽培に関して高い技術を持った生産者を認定する取り組みをスタートさせました。栽培で困った際の相談相手として活動してもらっています。また、金のいぶきを栽培する若手後継者らを集め、今後さらに農薬の使用量を減らしていくためにどうすればよいか、協議していく取り組みも始める予定です。

 

 最後に、安全・安心な米を栽培するには、同時に農業の抱える課題を解決していく必要があると感じています。後継者不足や食糧自給率の低下、高まる食品規格への対応などといった課題に向き合いながら、われわれ生産者も日々試行錯誤しています。

 

 

 お話を伺うなかで、安全・安心な金のいぶきをお客さまに届けるために、思いを込めて栽培に取り組まれる生産者の方々の様子が伝わってきました。また、若手生産者の育成に力を入れることは、後継者不足、食糧自給率の低下などの課題解決にも繋がっていきますね。
 

 金のいぶきは噛めば噛むほど甘く、あとを引く旨味があるお米です。お米の未来に大きな可能性を秘めた金のいぶきを、ぜひ多くの方に味わっていただければと思います。