杉桶横の階段から階上にあがると、仕込み中の御用しょうゆとのご対面です。階段は仕込室と同じ、鮮やかな朱色に染められています。内壁から天井に至るまで総朱塗りのしょうゆ蔵は、私の知る限りでは、日本、そして世界でもここだけ。一見の価値がある特別な空間です。外国の方をお連れいただいても、とても喜ばれると思います。


杉桶の中で長い期間、発酵・熟成を重ねる諸味はまさに生きもの。ご来館いただくタイミングによっては、時よりプツプツと諸味が息をする様子がご覧いただけるかもしれません。作業スペースで桶に耳を近づけると、パチパチというような、何ともいえない音が聞こえることもあるんですよ。
この日は撮影ということもあり、特別に入室許可が出ていますが、仕込室は普段限られた人間しか入ることができません。専任の仕込み担当者は、私が手に持っている櫂棒(かいぼう)で桶の諸味を攪拌して、発酵の進み具合を五感で確かめます。諸味の具合や周囲の温度・湿度によって、その程度を見極めるのは、匠の技と言えるのではないでしょうか。

総朱塗りの仕込室は荘厳な気配が感じられる
御用蔵のご案内は、いかがだったでしょうか?最後に、御用蔵の沿革を紹介いたします。
当初、御用蔵は江戸川沿いに建設されました(1939年のこと)。その後、70年の節目の修繕のタイミングで、現在の野田工場脇に移築されました。その際、仕込み木桶、屋根の小屋組み、屋根瓦、石垣、門などは移築前のものを使用して、原型に近い形で再現したんです。入り口や庭からは城郭のような石垣や屋根瓦が目に入ります。屋内から見上げていただくと、小屋組みの梁もよく見え、当時の面影を感じていただけるのではないかと思います。今回3D画像化を行うことで、WEBサイトなどではなかなか掲載できていない部分もご覧いただけるのではないでしょうか。

館内を見上げると、長い梁木の渡った小屋組み

屋根瓦や外郭は当時のものを移築。70年以上の歴史ある情景の保存に努めている
事前のご案内はほどほどにしまして、3Dを実際に操作いただくと、より臨場感を感じられると思います。下のリンクより御用蔵見学をお楽しみください。